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SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み

 信濃錦では、過去半世紀にわたる歩みが SDGs の理念に寄り添っていることを信じ、これからの世代が安心して暮らしていくことができる持続可能な社会の構築に、酒造りを通して寄与することができればとの思いを深めています。また、酒造りそのものが SDGs の理念と持続可能な社会の構築に反することなく、未来にわたって酒造りが続けられることを願い、 SDGs に取り組む際に顕わとなる本質的な課題の解決に向けて、ステークホルダーの皆様と共に一歩ずつ前へ進んで参ります。

 私共では、信州の大自然を表現した日本酒は、信州の大地で健やかに育まれた米から造られる味わい豊かな純米醸造酒であるとの思いから、平成3(1991)年より農薬や化学肥料の使用を抑制した農法を順次取り入れ、平成17(2005)年には全ての酒造米がこのような農法による契約栽培米となりました。
 また、翌平成18(2006)年より、地球の裏側から遥々運ばれ、国内で多くの熱を加えて精製しなくてはならない「醸造アルコール」を加えることのない「純米醸造酒」のみの仕込みとしています。
 さらに平成16(2004)年より、食糧廃棄率が高く精米時に多くのエネルギーを消費する「高精白」を行わない、「低精白」米による純米醸造酒造りに取り組んでいます。






			
第3回 エコプロアワード 財務大臣賞 受賞

エコプロアワード2020
財務大臣賞 受賞

第3回 エコプロアワード( SuMPO:一般社団法人 サスティナブル経営推進機構 主催 )

 2020年秋。私共が進めて参りました 「 地元産契約栽培米を用いた低精白の純米醸造酒 」 が評価され、 「 第3回 エコプロアワード 」 において 「 財務大臣賞 」 を受賞しました。

 「エコプロアワード」は、 経済のグローバル化やパリ協定の発効、 SDGs の制定など社会経済を取り巻く状況の変化を視野に入れ、日本市場において事業者、消費者、投資家、市場関係者に評価が高く、具体的に優れた環境配慮が組み込まれた製品やサービス、技術、ソリューション、ビジネスモデルなどを表彰することにより、これらのさらなる開発・普及の促進を図り、持続可能な社会づくりに寄与することを目的としています。

 近年、米を磨いた日本酒が主流となる中で、あえて低精白、無農薬、SDGs に取り組み、生態系と酒文化を地域から発信している点や、 無農薬栽培米等を利用し、契約農家に加算金を払いつつも継続的なモデルとして定着している点。 また、 米を磨かずに酒を造るためには米の品質が良くなくてはならず、 酒造技術としてもごまかしがきかない点。 さらに、 経済性や効率性ではなく、 本物を追求する信念が SDGs の理念をも超越しているように感じ、地域に根差した米作り、酒造りを通じて地域経済に貢献しながら、地球環境を意識している姿勢などをご評価戴きました。

 第3回エコプロアワードでは47件の応募があり、選考委員会と審査委員会における審査の結果、最も優れた表彰候補5件が、 財務大臣賞、農林水産大臣賞、経済産業大臣賞、国土交通大臣賞、環境大臣賞に、 また、大臣賞に次いで優れた表彰候補5件がエコプロアワード優秀賞に、さらに、審査委員会が推薦する8件が奨励賞となりました。
 そのような中で「財務大臣賞」を戴くことができましたことは、ご愛飲戴いておりますお客様をはじめと致しまして、ご販売戴いております流通業者様や料飲店様、良質米を供給戴いております契約農家様、製造にあたっております従業員を含め、全てのステークホルダーの皆様のご理解とご支援の賜物であると、深く感謝申し上げます。

 私共では今回の受賞を励みとして、この取り組みをより一層進める思いを深めておりますので、さらなるご理解とお引き立てを賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。


 ・エコプロアワード

 ・第3回エコプロアワード審査結果

 ・第3回エコプロアワード受賞者公表及び表彰について






地元産契約栽培米を用いた低精白の純米醸造酒



化学物質を可能な限り圃場に持ち込まないこと

SDGs 06 安全な水とトイレを世界中に SDGs 13 気候変動に具体的な対策を SDGs 14 海の豊かさを護ろう SDGs 15 陸の豊かさも守ろう

 20世紀の農業は、生産性向上のため、化学合成された農薬や肥料を多用することによって発展しましたが、一方で農地に残留し或いは流れ出る化学物質が、微生物を含めた生態系にどのような影響を与えているのかについては、十分に解明されているとは言えません。
 無農薬栽培など、可能な限り農薬や化学合成肥料の使用を抑制した農法を取り入れることは、安心・安全な水系を維持し、農地やその周辺の大地の豊かで多様な生態系を護り、それがひいては、海とそこに育まれた多様な生態系を護ることに繋がります。
 有機栽培では化学肥料を用いた場合に比べて肥料分の分解が緩慢となるため、有機肥料の積極的な活用は、そこに固定されている炭素を長期にわたって土中に留めることができ、さらに温室効果が二酸化炭素の数百倍と言われる一酸化二窒素の放出も緩やかにできます。
 また、農薬や化学肥料の使用を抑制することによって農地周辺の生物多様性が維持され、それらの生物が炭素を体内に固定することを含め、多くの炭素を封じ込められることが分かってきています。
 農産物の生産圃場において化学物質の使用を可能な限り減らし、土中を含めた農地周辺の生物多様性を維持することが、気候変動に対する具体的な対策にも繋がるのです。



醸造アルコールを使わないこと

SDGs 07 エネルギーをみんなにそしてクリーンに SDGs 09 産業と技術革新の基盤を作ろう SDGs 11 住み続けられるまちづくりを SDGs 12 つくる責任つかう責任 SDGs 13 気候変動に具体的な対策を

 醸造アルコールとは、主にサトウキビから砂糖を取り出した残りである廃糖蜜を発酵させて蒸留したものです。 日本では、はるばるブラジルなどから運ばれてきた粗製アルコールに再び熱を加えて連続蒸留し、味や香りが殆ど無い状態に仕上げてから用いられています。
 醸造アルコールを加えると、お酒がすっきりとし、吟醸酒などでは酵母の持つ香気成分を引き出すことができますが、そこに至る間の地球環境に対する負荷が多大であることも、常に認識しておかなくてはなりません。 近い将来、炭素税などが導入された際には、醸造アルコールの価格が跳ね上がるものと思われますが、それ以前に、多くの醸造家が環境負荷に対しての思いを巡らせ、 醸造アルコールを用いない純米醸造酒を選択すべきであると考えます。
 純米醸造酒では、その年の気候により味わいが大きく変わりますが、それこそが酒を通して気候風土を味わう日本酒の醍醐味であり、土地の滋味を感じる地酒の価値でもあります。風土を味わう酒である純米醸造酒こそが、風土を共にする地域の食文化の掘り下げに深く関わることができ、地域文化やその先にある地域の発展に寄与できると考えます。



過度な精米を行わないこと

SDGs 02 飢餓をゼロに SDGs 07 エネルギーをみんなにそしてクリーンに SDGs 09 産業と技術革新の基盤を作ろう SDGs 12 つくる責任つかう責任

 20世紀後半より人口爆発に伴って食糧危機が叫ばれ、21世紀に入り気候変動などによる干ばつやバッタの異常発生など、食糧生産が危うくなる事態が数多く生じています。
 これからの酒造りは原料調達の段階から食糧需要との取り合いとなり、まず食糧を確保した上でなくては酒造りができない状況が目前に迫っています。
 精米技術が高度化し、吟醸酒こそが最高峰であるという価値観の進展によって、精米時に多くのエネルギーを消費し、食糧廃棄率の高い高精白の酒がもてはやされるようになりましたが、低精白米を用いても十分美味しいお酒が造られていることを心に留めておくべきです。
 今こそ、大地の恵みを余すことなく味わう酒造りを心掛け、望むらくは食用米と同程度の精米率にても、味わい深く風味の良い個性豊かな酒造りをする技術開発を、業界をあげて進めるべき時と考えます。



地域の農業者と共に歩むこと

SDGs 07 エネルギーをみんなにそしてクリーンに SDGs 08 働きがいも経済成長も SDGs 11 住み続けられるまちづくりを SDGs 17 パートナーシップで目標を達成しよう

 本来、醸造物はその土地の気候風土の産物であり、それこそがその醸造物の存在価値でもあります。
 原料の確保が食糧需要との取り合いとなる状況を目前として、原料は地元の農業者と手を組んで、あるいは自ら生産する時代となっています。
 醸造家は、まず自らが生きるその土地に根差した「土着の蔵」であるべきと考えます。そして、地域社会の歯車の一つとして直接的・間接的な雇用を生み出し、持続可能なまちづくりをするためのパートナーシップの要となる気持ちを持たなくてはなりません。
 地元の農産物を原料として酒を醸し、地元の食と共に、まずは地元の方々に楽しんで戴くことを基本とし、工業製品のような画一化された価値に頼るのではなく、郷土に愛される地の酒であって初めて、地域社会の一員として持続的な地域貢献ができるのです。
 地元の農業者と手を携えて輸送エネルギーを最小化することはもとより、地域経済を循環させる地産地消と自給自足こそが、地域を未来にわたって持続させることのできるレジリエンス(強靭な回復力)の基本であると考えます。







今までの歩みとこれから辿る道

環境負荷を低減し地域連携を図る酒造りの変遷

 信濃錦では、平成初期より醸造アルコールの削減に取り組み、平成18(2006)年には全ての仕込みを醸造アルコールを加えない「純米醸造酒」とすることができました。
 また平成3(1991)年より、農薬などの使用を控えた形での契約栽培を開始し、平成17(2005)年には全ての酒造米が契約栽培となりました。その中で、農薬を一切使用せずに有機質肥料のみで栽培される、いわゆる「無農薬栽培米」を用いた酒の製造割合は、2020年の製造計画では凡そ25%となる見込みです。
 低精白米を用いた純米醸造酒につきましては平成16(2004)年に開始し、2020年の製造計画では凡そ45%が「低精白の純米醸造酒」となる見込みです。また精米歩合が80%以上の特に低精白のものは、凡そ24%となる見込みです。

 今後、無農薬栽培米の使用比率を2030年に50%、2040年に100%とすることを目標としています。
 また低精白の純米醸造酒については、2030年に60%、2040年には80%とする目標を立てています。







SDGs その先の未来へ

SDGs その先の未来へ(電子ブック)  SDGs その先の未来へ(PDF)
電子ブック と PDF の記載内容は同じです

 SDGs は国際社会が2030年に達成すべき目標ですが、個々の企業が取り組まなくとも罰せられる訳ではありません。しかし、その達成を先送りすればするほど回復困難な課題は増え続け、次の世代がさらなる苦境に立たされることは明白です。次の世代のみならず、その先の未来を背負う世代に思いを馳せ、この素晴らしい地球を彼ら彼女らに引き継いで行くため、今を生きる私達の世代ができることを考え、すぐにでも実行に移さなくてはなりません。

 いずれ多くのエネルギー源は電力に集約されクリーンエネルギー化される時が来ると考えられますが、一時に大量の蒸気を発生させなくてはならないボイラーを電気式に置き換えることだけでもハードルは高く、あるいは水素を燃料としたシステムへ転換するとしても解決しなくてはならない課題はまだ多く存在します。
 また、海外産の醸造アルコールを添加した酒さえも「日本酒」と名乗ることができる違和感など、その本質に触れる様々な課題があることも忘れることはできません。

 世界は今、循環型経済を新たな価値観として、環境再生型への転換を図っています。
 それは持続可能な開発の先にある、自然を再生( Regeneration )し、自然と調和する、ナチュラルな生き方への移行を意味し、日本人が受け継いできた、全てのものに「神」が宿り、豊かな季節感の中で自然と調和し、安定した進歩( Improvement )の道を歩むという世界観と重なります。
 それはイデオロギーのように、誰かを困惑させたり、誰かを屈服させたりするものではなく、人類が本質的に持ち合わせている「生き方」の原点ではないのかと感じています。

 日本の食文化の象徴とも言われる日本酒業界が、率先して工業的産業から環境再生型産業へ変わる姿を示すことにより、国内のみならず海外からもさらに高い評価を受け、それが未来へ向けた日本の食文化の発展に結びつくと考えます。
 人類が自らの生き方を見つめ直している今こそ日本酒業界は立ち止まり、自らの在り方について再考すべき時と考えます。そして、地球を再生し、社会を護り、その上に経済活動を構築していく姿を、酒造りに重ねて行かなくてはなりません。

 来るべき未来は、人類が自らの持続可能性を憂えることなく、また新たな開発ばかりを目指すのでもなく、安定した進歩こそを善しとする時代となるでしょう。
 大切なのは、私達の世代のみならず、次の、そしてその先の未来にも SDGs の理念を語り継ぎ、安定した進歩を希求する熱意( Stable Improvement Zeal ) を、人類が持ち続けることなのではないでしょうか。







NAGANOものづくりエクセレンス2019

NAGANOものづくりエクセレンス2019盾  NAGANOものづくりエクセレンス2019認定証

 2019年秋。私共が進めて参りました上記の 「 地元産契約栽培米を用いた低精白の純米醸造酒 」 が評価され、 長野県より 「 NAGANOものづくりエクセレンス2019 」 として認定されました。







YouTube

Youtube 農あるくらし学び塾 

南アルプス有機・自然栽培 農ある暮らし学び塾 第2回 「 SDGs の理念に沿った酒造り 」
講師:合資会社宮島酒店 社長 宮島 敏
( 動画 90分:この動画は 主催者の許可を得て転載しています )



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