互いに重ならない大きさの異なる三つの円に外側から接する接線を引くと、そこに現れる三つの交点は一直線上に並びます。


 ここでは下図のように、それぞれの円の中心から別の円の中心へ向かうベクトル , , を使って共通外接線の三つの交点を互いに結ぶベクトル , を表し、 の定数倍であること、つまり , が同一直線上にあることを示したいと思います。

 ベクトル , , は三つの円の位置関係を表し、半径 , , がその大きさを表すことから、これらによってこの問題のエッセンスを網羅できます。


 上図では、それぞれの円の中心点より共通外接線の交点に向けたベクトル , , が補助ベクトルとして記されています。

 これらの補助ベクトルは、下図のような比例式によってベクトル , , と各円の半径 , , を用いて表すことができます。


 ここまで来れば、あとは , にベクトル式を当てはめるだけとなります。


 この式は、 の定数倍であることを示しており、それは二つのベクトルが同一直線上にあることを意味しています。
 これにより「互いに重ならない大きさの異なる三つの円の共通外接線の交点は一直線上に並ぶ」ことが示されました。

 この式はまた、 の比率が三つの円の位置には関係なく、各円の大きさにのみ依存することを示しており、これも何かに活用できるかも知れませんね。



 この問題は『サイエンス』誌に連載されていたマーティン・ガードナー氏の「数学ゲーム」というコラムの中で、1970年代半ばに出題されていたものです。
 まだ代数学的な手法しか知らなかった私にとって、翌月号で示された三次元への発想の転換は、とても衝撃的であったことを覚えています。

 その後ベクトルを学び自分なりの解が求められたとは言え、そのこと以上に、複雑な物事を別の次元から捉えると進むべき道は意外と明快に示されることがある、という教訓として常に心の隅に留めています。



 「誰ひとり取り残さない」という言葉でまとめられている「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」は、国連加盟のすべての国の総意をもって「実行に移されるべき事柄」として、互いの信義に基づいたひたむきな努力が求められているものです。

 SDGs が期限としている 2030年 のその先の未来では、自然を「開発」するのではなく自然に「寄り添う」スタイルへと人類の生き方が変わり、持続可能性を模索した先にある、自然と調和し、安定した繁栄の姿を見出す努力が続けられていることでしょう。
 そして「拡大均衡」という考え方から脱し、世界の総人口をほど良く抑えながら国際社会を安定させる「縮小均衡」について真剣な議論が続けられているに違いありません。

 海外産の醸造アルコールを多用し、食糧廃棄率やエネルギー消費に糸目をつけないような現在の日本酒の在りようを、「子供たちに持続可能な社会を手渡す」という別の次元から見つめ直すべき時が来ています。

 自然を再生し、資源を可能な限り無駄なく使う循環型経済 (Circular Economy) を意識し、次の世代の、その先の未来を見据えた酒造りの姿を映し出して行かなくてはならないのではないでしょうか。

土着の蔵 信濃錦 蔵元 宮 島 敏 
プロフィール 



科学を志し 山に登り 星空を眺め カメラを友とす
座右の銘:過ぎたるは猶及ばざるが如し





SDGs その先の未来へ
SDGs その先の未来へ (Youtube 10:43")


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