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はじめに
防腐剤無添加酒の開発
酒造好適米全量使用と契約栽培
純米酒へのこだわり
信濃錦の味わい
顔のみえるということ
 顔の見える素材
 顔の見える酒造り
 顔の見える販売方法
 眞の「認証」とは
最後に
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お求めは
蔵元情報

 お客様に「安心」な日本酒をお届けするためには、素材の調達から製造方法、そして販売経路に至るまで、「顔の見える」ことこそが一番大切であると考えています。
 最後に、改めて「顔の見える」ことをキーワードとして、私共の酒造りをまとめさせて戴きます。

 顔の見える素材
 信濃錦では「顔の見える」素材にこだわります。
 現代の様に食品化学・食品工業が進んで参りますと、全くの自然素材ばかりで無くとも、プロでさえ本物と間違える程の食品は造り得るかも知れません。
 しかし、日頃から本物の素材を使った食品を口にしていると、人工合成物を口に入れた瞬間に違和感を感じると、私共のお客様は異口同音に申されます。
 また当然の事ですが、同じ米でもその品質にはピンからキリまであり、良質な酒を醸すためには高品質な米がどうしても必要となります。どうすれば、高品質な酒米を安定的に手に入れる事ができるのかは、蔵元にとりまして大変重要な関心事の筈です。
 信濃錦では昭和57年より、酒造好適米を100%用いた酒造りを進めて参りましたが、その考えをより一歩進め、地元の篤農家と手を結び、健康や環境にも配慮した契約栽培を推し進めています。
 理想を追い求めれば「有機無農薬米」かも知れませんが、現実問題として、日本の農業を取り巻く環境の中では、そのような米は量的にも極限られたものですし、当然のこととして高価にもなります。
 現在無農薬米は、天皇陛下への献上米も作られたJA上伊那有機米部会長の吉川照美さん(写真)にお願いしていますが、他のほとんどの方々には一部農薬を使用する「環境保全米」の栽培をお願いしています。多くの農家の方々に、広く安定的に良質な米を栽培して戴くには、多大な労力を要する「無農薬米」よりも、残留農薬を可能な限り低減した「環境保全米(低農薬米)」が現実的な栽培方法であると考えています。
 いずれに致しましても、先ず大切なのは、生産者の「顔」が見えている事であると思います。
 一般論として米の流通は、誰が作った米でも最終的には農協に集約され、混ぜられた上で届けられます。しかしこれでは、篤農家が栽培した高品位米も、量産型の農家が生産した米も一緒になってしまい、篤農家の生産意欲は減退してしまいます。
 キチンとした契約に基づいて生産者と手を組むことは、私共にとりましては高品位米の安定供給という意味があり、また生産者の方々には安定した需要先が確保できるという意味がありますが、それ以上に「顔が見える」素材である事が、何にも増して「安心」を語る上で心強いのです。
 私共では、微力ではありますが、酒販店様と一緒に草取りの援農を行っています。
 その中で、農家の方々とお話ししましても、自分の作った米が大切に扱われているという事にとても手応えを感じておられる様子です。当然の事ですが、契約栽培では米質をも指定しており、また等級検査時には私共が直接立会いを行っておりますので、一般に買い付ける「美山錦」と比べ、より高品位な米となっていると確信しています。
 今後も新規の契約農家を募り、「顔の見える」米のより確実な確保を図って参ります。
 付け加えるならば、私共が農家の方々にお使い戴いております有機肥料は、大成農材叶サの「バイオノ有機」という外洋回遊魚の魚粕と米糠を原料としたものですが、肥料としての効果は勿論のこと、その安全性もJAS(日本農林規格)の有機認証肥料となり認められています。また、麹菌や酵母を生きたまま含み、土中の細菌環境を改善させることのできる「酒粕」を、肥料として活用すべく試験を開始しています。

 顔の見える酒造り
 私共では、現在蔵見学はお受けしておりません。
 人的に受け入れ体制がなく、蔵人の酒造りへの集中力を削ぐ結果を招いてしまうからです。そのため、現在は2月と11月に開催される「信濃錦を呑む会 in 蔵元」の際にのみ蔵見学の時間を作らせて戴いております。
 その中でご覧戴いておりますのは、人手をかけずとも品質に影響の無い部分や品質の上がる部分には積極的に機械を導入し、機械を使っては十分な品質が得られない部分などは、逆に手造りに戻し、全ての行程で蔵人の手と感性が活きるような酒造りを行っている点です。
 私共の目指しておりますのは、アルコール飲料の量産工場ではありません。小さいながらも蔵人の「顔が見え」、蔵元の「心」が感じられるような酒蔵です。
 是非「信濃錦を呑む会 in 蔵元」にご参加戴き、蔵人の息遣いや私共の考え方を感じて戴ければ幸いです。

 顔の見える販売方法
 私共が、どれほど丁寧に思いを込めて酒造りをしましても、お客様のお手元へお届けする前に、品質が劣化してしまうようでは意味がありませんし、私共の酒造りにかける思いや考えがお伝えできてこそ、お客様に心で味わって戴けるのではないかと考えています。
 理想を云うならば、全てを私共が手渡しでお届けできれば良いのですが、現実には不可能です。当然、何らかの方法でお求め戴ける場を設けなくてはなりません。
 私共が進めておりますのは、私共の考え方に共感して戴き、私共の考えをお客様に語りかけて戴ける酒販店様にご販売戴く事です。
 冷蔵庫等での品質管理は勿論ですが、商品を単なるモノとして見るのでは無く、心の通った生き物の様に扱って戴ける「顔の見える」酒販店様でご販売戴くことが、お客様にとりましても、酒販店様にとりましても、私共にとりましても、農家の方々にとりましても、心安らかな事であると信じます。

 眞の「認証」とは
 最後に、私共の考える「認証」という言葉の意味についてご説明させて戴きます。
 よく次の様なご質問を戴きます。「何故、JASの有機認定を目指さないのか」、と。
 私共の契約栽培では、栽培用水に気を配り、残留農薬を極力低減するための低農薬栽培を原則としており、また一部では無農薬栽培もお願いしています。
 新しいJAS法が施行された平成13年に、私共でも「有機認定」のために情報収集を行いましたが、別地区の田圃において、天竜川の水を汲み上げて用いているのにも拘わらず、「有機」の認定が下りたと聞き、驚きを禁じ得ませんでした。天竜川は、諏訪市や岡谷市、茅野市などの生活雑排水のほか、工業排水も多数流入する、汚染の進んだ諏訪湖を源としています。
 この一件にて、私共は「有機」認定への不信感が強まり、また田圃一枚毎に毎年数万円の経費がかかる「有機」認定が、本当に価値のあるものか再考する事と致しました。
 その結果、敢えて「有機」認定は目指さず、耕作者と蔵元、蔵元と酒販店、酒販店とお客様が相互に強く結び付き、「顔の見える農家」「顔の見える蔵元」「顔の見える酒販店」として、相互に信頼関係を築き上げ、それによりお客様に信頼感と安心感をお伝えすれば、第三者による「認証」など本来不要なのではないかとの結論に達しました。
 つまり、そもそも何故「認証」が必要とされるようになったのかを考えますと、生産者から消費者へ商品が届けられる中で、「顔の見えない」者が介在するようになったからに他なりません。
 つまり、「顔の見えない」流通によって特別な商品を販売する場合、その商品の「特別性」を、公的に認められた第三者機関の「認証」をもって保証し、その商品の信頼性を確保する必要があります。
 逆に、原料からして「顔の見える」流れができていれば、第三者の入る余地は無い筈です。
 私共では、農家の方々が最も苦労される「草取り」の作業を酒販店様と共に行い、また酒造りを肌で感じて戴く中で、「顔の見える農家」「顔の見える蔵元」「顔の見える酒販店」の結びつきを、より強くすることに腐心しています。
 第三者の認証よりも、自分の目で見、肌で感じた事が、最も説得力があると思いませんか。
 「顔の見える」と言う言葉は、余りにも多用され陳腐化した感がありますが、その言葉の中に含まれる意味は、いつの時代になりましても普遍的なものであると思います。
 「信濃錦」に関わる全ての方が、「顔の見える」形で互いに結びつき、信頼し「共に生きる」事こそが、第三者による「認証」を大きく超えた「眞の認証」となると信じます。

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吉川照美さん
吉川照美さん
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昭和11年生。長野県飯島町在住。昭和末期より無農薬栽培米を作り続けている。平成4年よりJA上伊那有機米部会長を務め、現在に至る。平成12年には天皇陛下献上米耕作者となる。
 
献上米証書
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